一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「父さん。星奈さんが怖がってる」
「うむ……」
「ごめんなさいね? 悪気があるわけじゃないの。悪人顔って、こう言う時に困るわよね~」
「母さんに似て、本当によかった」
「あら。黒髪より金髪が似合うあたり、香月はお父さんにそっくりだと思うわよ?」
「やめろよ。そう言うこと言うの。学生時代の星奈さん、俺のこと不良だと勘違いして怖がってたんだから……」
香月先輩は私と話す時以外は無口なイメージが強かったけど、家族は例外らしい。
彼の唇からポンポンと新情報が飛び交い、私はそれらを記憶するだけで精一杯だった。
「星奈さん、と言ったか」
「は、はい! ご挨拶が遅れてしまい、大変申し訳ございません……!」
「いや。気にしていない」
言い争いを続ける義母と香月先輩の会話に気を取られていれば。
蚊帳の外に追いやられた義父から、声をかけられる。
声を震わせながら返事をすれば、彼のお父様は再び黙ってしまった。
ーーこれって、私から話しかけてもいいのかな……。
心臓が嫌な音を立てている。
この感覚は、怒り狂う妹に声をかけていいものかと悩んでいた時とよく似ていた。
「うむ……」
「ごめんなさいね? 悪気があるわけじゃないの。悪人顔って、こう言う時に困るわよね~」
「母さんに似て、本当によかった」
「あら。黒髪より金髪が似合うあたり、香月はお父さんにそっくりだと思うわよ?」
「やめろよ。そう言うこと言うの。学生時代の星奈さん、俺のこと不良だと勘違いして怖がってたんだから……」
香月先輩は私と話す時以外は無口なイメージが強かったけど、家族は例外らしい。
彼の唇からポンポンと新情報が飛び交い、私はそれらを記憶するだけで精一杯だった。
「星奈さん、と言ったか」
「は、はい! ご挨拶が遅れてしまい、大変申し訳ございません……!」
「いや。気にしていない」
言い争いを続ける義母と香月先輩の会話に気を取られていれば。
蚊帳の外に追いやられた義父から、声をかけられる。
声を震わせながら返事をすれば、彼のお父様は再び黙ってしまった。
ーーこれって、私から話しかけてもいいのかな……。
心臓が嫌な音を立てている。
この感覚は、怒り狂う妹に声をかけていいものかと悩んでいた時とよく似ていた。