一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
『夫婦の間に、隠し事はなしにしましょう?』
義母の言っていた言葉を思い出した私は、歩きながらであれば彼もさして気には止めないだろうと気持ちを切り替え、思い切って伝えようと決めた。
「私の両親は生前、言い争いが耐えなかったので……」
「……あんなのでも、まだマシな方か……」
香月先輩は気にしないでくれると思っていたけれど。どうやら、宛が外れたようだ。彼はなんとも言えない痛ましそうな視線を私に向けた。
ーーそんな顔を、させたいわけじゃなかったのに。
香月先輩を悲しませるのはよくないと感じた私は、思い切って自分から話題を変えた。
「あの。お義父様から少しだけ、聞きました。同じ道を歩ませたかったけれど、反抗されたと……」
「……父さん、警視総監なんだよ」
「警察官、ですか……」
「先祖代々、ずっとそう。親戚の集まりは、警察官僚がゴロゴロいる。酒の席で武勇伝を語る大人を見て、あんなふうにはなりたくないと思った」
武勇伝が何を指すかまでは教えてくれなかったけれど、一般人に聞かせるような内容ではないことは確かだ。
義母の言っていた言葉を思い出した私は、歩きながらであれば彼もさして気には止めないだろうと気持ちを切り替え、思い切って伝えようと決めた。
「私の両親は生前、言い争いが耐えなかったので……」
「……あんなのでも、まだマシな方か……」
香月先輩は気にしないでくれると思っていたけれど。どうやら、宛が外れたようだ。彼はなんとも言えない痛ましそうな視線を私に向けた。
ーーそんな顔を、させたいわけじゃなかったのに。
香月先輩を悲しませるのはよくないと感じた私は、思い切って自分から話題を変えた。
「あの。お義父様から少しだけ、聞きました。同じ道を歩ませたかったけれど、反抗されたと……」
「……父さん、警視総監なんだよ」
「警察官、ですか……」
「先祖代々、ずっとそう。親戚の集まりは、警察官僚がゴロゴロいる。酒の席で武勇伝を語る大人を見て、あんなふうにはなりたくないと思った」
武勇伝が何を指すかまでは教えてくれなかったけれど、一般人に聞かせるような内容ではないことは確かだ。