一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「何? 香月には彼女がいるんだから、どれほど言い寄っても無駄とでも言いたいの!?」

 思わず呆れを含んだ視線を、私が妹に向けていると気づいたのだろう。
 苛立ちを隠しきれない陽日さんは、馬鹿にされたと考えたようだ。

 彼女は私の考えを否定するように力いっぱい叫び、二つに結わえた長い髪を振り乱した。

「彼女がいるから、なんなの!? あたしの方が魅力的なのは、間違いないんだから!」

 こんな状態の妹に、私が関宮先輩から告白されたなんて打ち明ければ……。
 香月先輩の彼女さんに向いている怒りが、すべてこちらに向けられるはずだ。

 そんなの、耐えられなかった。
 私はこれ以上、傷つきたくない。
 そう思うと同時にーー。

 高校時代のように。
 関宮先輩を傷つけることだけは、絶対に避けなければならないと決心する。

 そのためには自分の身を守りながら、彼に迷惑をかけないように立ち回る必要があった。
 そんな器用なことが、引っ込み思案でいつも妹の言いなりになるしかない私に、できるのだろうか……?
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