一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「返事は、今すぐじゃなくてもいいよ。あの女に文句を言われなくなるまで、通うから」

 そんな私を見かねたのか。
 関宮先輩はそう言い残すとひらひらと手を振って、カフェ宇多見から去ってしまった。

 ーーあれって、また来るってことだよね……?

 彼と再び会えることが嬉しいと感じると同時に。
 告白の答えを迫られたら、嘘をつかずにはいられない状況を考えれるとーー今の状況は、素直に喜べなかった。

「あれ? 香月、帰っちゃった!? もう! なんでレジ打ちしちゃうの!?」

 常連客との話し合いを終えてオーダーを受けつけた妹は、キョロキョロとあたりを見渡し、彼の姿を探していたようだが……。
 すでに関宮先輩がいないと知るや否や、私を責めた。

「あたしの手にかかれば、今日中に籠絡できる予定だったのに……!」

 自身の美貌に絶対的な自信を持っている陽日さんは、相手が彼女持ちの男性でも関係ないようだ。
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