一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「お姉も、協力してよね!」

 陽日さんから提案された私は、すぐさま首を左右に振りたい気持ちいっぱいだった。

 関宮先輩を好きな気持ちは、表には出せないけれど。
 確かに抱いたその想いは、本物だったからーー。

『関宮先輩のことが好きなら。私の力など借りず、一人で好きになってもらえるように努力すれば?』

 ーーなんて。
 気の強い妹を見習って吐き捨てられたら、どれほどよかったことか。

 その勇気がない私は、自分自身が彼には釣り合わない人間だと卑下して。
 手を取り合う未来など、思い描いてはいけないと決めつけて。

 関宮先輩を、諦めるしかなかった……。

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