一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
9・3年後の結婚式は、幸せに満ち溢れて
香月先輩と結婚してから三年後。
すぐに子宝に恵まれた私は娘を出産後。
ずっと延期になっていた結婚式を終え、披露宴の真っ只中にいた。
彼は私の隣で肩に金色の肩章、胸元に縄のような紐のレニヤードがつけられた黒を基調とした消防礼服を身に着け、椅子に座っている。
背筋をピンと伸ばして腰を下ろした姿は正しく軍人と呼ぶに相応しい。
桃色のカラードレスに着られている私は、明らかに彼と釣り合っていなかった。
ーーああ、せめて性格だけでも。
妹のように明るく元気ならば……。
もっと違った印象を与えられるのにと、気分が沈んで仕方がなかった。
「香月先輩の軍服が様になりすぎて、公開処刑をされている気分です……」
不貞腐れた私がフォークでグサグサと高そうなステーキ肉を串刺しにしていれば、見かねた夫から声を掛けられる。
「何言ってるの? 星奈さんは世界で一かわいい、俺の妻なんだから。もっと自信を持ちなよ」
「香月先輩……」
「それでも無理なら、俺達の愛しい娘の姿を見習うといいかもね」
私の頬をツンっと人差し指で啄いた彼は、その後左手を使って視線を下ではなく右側に向けて、顎を強制的に動かす。