一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
 ひらり、ひらりと夜空の手から放たれた造花の花びらが私のドレスへと吸い寄せられていく。

「夜空。おいで」

 その様子をじっと感情の籠もらない瞳で見つめていた娘は、香月先輩に手招きされたせいだろうか。
 勢いよく、こちらに向かって走り出した。

「ぱぱ」

 私と手を繋いだまま愛の結晶を左手で軽々と抱き上げた香月先輩は、こちらへ含みのある視線を向けてきた。

「ままも」

 なんだろうと不思議に思えば、彼の首元をぎゅっと握りしめていた夜空が右手で手招きしてくる。

 娘の元へ向かうため香月先輩と繋いだ手を離せば、彼は私の腰へ勢いよく腕を回し――抱き上げた。

「いいぞー!」
「もっとやれー!」
「よっ。日本一!」

 私達を囃し立てる声と、意味不明な野次が飛び交う中。
 ニコニコと嬉しそうな娘の姿を見ていると、下ろしてくださいと叫ぶ気が薄れていく。

「俺は星奈さんを、一生愛し抜くと誓います!」

 同僚達に大声で宣言をした香月先輩の誓いを耳にしたら、黙ってなどいられなかった。
 好きや愛しているの言葉だけでは物足りない。
 :
「私も香月先輩だけを、生涯愛し続けます」

 彼に抱き上げられたまま身を乗り出して頬に触れるだけの口づけを落とせば、参列者達の拍手喝采が鳴り響く。

「夜空は?」
「ん! やる!」

 キラキラと瞳を輝かせた娘も反対の頬に口づけを落とせば、夫も嬉しそうに微笑んだ。

「愛する妻と娘に囲まれて、俺は世界で一番幸せな男だよ」

 ――この日の出来事はきっと私達にとって、一生の宝物になる。
 そんな予感で、胸がいっぱいになりながら。

「私を諦めることなく、求め続けてくれて――本当にありがとうございました……!」

 触れるだけの口づけを夫と交わしあった私達は家族三人で、いつまでも。
 幸福を享受して生きていく――。

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