一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む

「お姉のくせに、生意気よ！」

　彼女の逆鱗に触れてしまった。

「きゃ……っ。な、何を……っ！」
「こっちに来て！　早く！」

　怒り狂った陽日さんは、小さく可憐な容姿のどこに、これほど強い力が秘められているのかと不思議に思うほどに。

　嫌がる私の手首を掴み、部屋まで引き摺っていく。
　彼女に掴まれた腕は、あっと言う間に腫れ上がってしまった。

「じ、自分で……！　歩けますから……！」
「今日は、夜ご飯抜き！」

　反対の手でドアノブを勢いよく引いて扉を開いた彼女は、苛立ちを隠せない様子でそう矢継ぎ早に言い放つ。

「陽日、さん……？」

　何を言われたのかわからぬ私が、呆然と彼女の名を呼べば。
　陽日さんは私の掴んでいた手首を離すと、部屋の中へ勢いよく突き飛ばした。

「もう二度とこんな目に会いたくなかったら、あたしの機嫌を損ねるような言動はしないでよね！」
「ま、待ってください……！」

　床に倒れた私は思わず顔を上げて叫んだが、妹は大きな音を立てて扉を閉めると、外から鍵を施錠してしまう。