一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
 ――外の状況、確認しなきゃ……。

 頭の中では理解していても。
 夕食を満足に摂取できていない状態では、カロリー不足で気だるい身体は、なかなか言うことを聞いてくれない。

「う……」

 ーーもう少し。
 絶対に、助かるから。
 勇気を出して……!

 泣きそうになるのを何度もぐっと堪え、必死に心の中で自分自身を奮い立たせながら。

 ぺたりと冷たい床の上にしゃがみ込んでいた私が、よろよろと上半身を起こして立ち上がった時のことだった。

「大丈夫ですか!?」

 ベランダの外から、オレンジ色の防護服を身に着けたーー聞き覚えのある声をした男性に、声をかけられたのは。

「は、はい……」

 力なく頷き何事かとそちらへ視線を向ければ。
 気がつかないうちに、ベランダの縁にはしごらしきものがかけられていた。
 そこには、いつの間にか男性消防士が座っている。

「それ、止められますか!」

 大声で指摘を受けた私は、その時になってようやく。
 目覚まし時計がけたたましい音を響かせているせいで、消防隊員同士の無線連絡が聞き取りづらくなっていると知った。
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