一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「これは……」
「今から、俺の部屋に来て」
「はい?」
「野宿は嫌でしょ」
着の身着のままの状態で火災現場から救出されたのだ。
残念ながら私は、無一文であった。
マンションでは今もなお、懸命な消火活動が続けられている。
火を消し止めたあとも現場検証が終わり、安全が確認できるまでは自宅に戻れないとなれば、最悪の場合は彼の言うとおり野宿を想定する場面だ。
私の胸元には彼からプレゼントされた合鍵と、住所の書かれた紙が入ったお守り袋がぶら下げられている。
関宮先輩に頼るしかない状態だとは、よく理解しているつもりだけれど……。
私が彼の家で一時的にとはいえ身を寄せたなどと、妹に知られたら。
せっかく助かったのに。
また、命の危機が訪れかねない。
恐ろしい未来を想像した私は、どうしても関宮先輩のありがたい申し出に頷く気にはなれなかった。
「で、ですが……。私だけが、お世話になるのは……」
「あの女狐だったら、心配いらないよ。貴重品を持って逃げてきたマンションの住人と一緒に、ホテルに泊まるみたいだから」
てっきり脱出できず、自室に取り残されているとばかり思っていたのに。
すでに脱出していると聞かされた私は、呆然と関宮先輩に問いかけてしまった。
「今から、俺の部屋に来て」
「はい?」
「野宿は嫌でしょ」
着の身着のままの状態で火災現場から救出されたのだ。
残念ながら私は、無一文であった。
マンションでは今もなお、懸命な消火活動が続けられている。
火を消し止めたあとも現場検証が終わり、安全が確認できるまでは自宅に戻れないとなれば、最悪の場合は彼の言うとおり野宿を想定する場面だ。
私の胸元には彼からプレゼントされた合鍵と、住所の書かれた紙が入ったお守り袋がぶら下げられている。
関宮先輩に頼るしかない状態だとは、よく理解しているつもりだけれど……。
私が彼の家で一時的にとはいえ身を寄せたなどと、妹に知られたら。
せっかく助かったのに。
また、命の危機が訪れかねない。
恐ろしい未来を想像した私は、どうしても関宮先輩のありがたい申し出に頷く気にはなれなかった。
「で、ですが……。私だけが、お世話になるのは……」
「あの女狐だったら、心配いらないよ。貴重品を持って逃げてきたマンションの住人と一緒に、ホテルに泊まるみたいだから」
てっきり脱出できず、自室に取り残されているとばかり思っていたのに。
すでに脱出していると聞かされた私は、呆然と関宮先輩に問いかけてしまった。