一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
 後輩と連れ立って女性向けの服飾店にやってきた俺は、大量の洋服を買い込む。

「そんなに必要あります?」
「うん」
「凄い量っすよ、これ。宇多見の好みに合わなかったらと思うと……ぞっとするっす……」

 彼は本人の希望も聞かずに大量購入するのは、あまりよくないのではと難色を示されたが……。

 これもある意味、俺の策略だった。

 あの子は心優しい性格をしているから。あれこれと世話を焼いて尽くせば。
 その好意を無碍にはできないと、戸惑いながらも受け入れてくれるはずだと言う確信があったのだ。

 ーーどれほど手を伸ばしても。星奈さんは今まで、女狐を気にして遠ざかって行ったけど……。

 気の遠くなるほど長い時間。

 酷い目に合わされて来た彼女は、もう限界なのだろう。
強気に押せばこの腕の中に転がり込んでくるのではないかと思うほど、俺に心を許し始めていた。

 ――あと少しで、あの子が手に入る。
 俺だけのものになってくれるなんて、夢のようだ。
 今度こそ、逃すわけにはいかなかった。

 彼女がどれほど俺から距離を取ろうと、もがき苦しんだとしても。
 必ず、繋ぎ止めてみせる。
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