一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
――あの男子学生が自分では手に負えないと、俺を呼び来てくれて本当によかった。
そう、彼に感謝をしながら。
纏わりついてきた女を強引に振りほどいて突き飛ばせば、俺の手首を引っ張っていた男の手も離れていく。
ーーただでさえ、容姿が目立つのだ。
俺は不機嫌そうに眉を伏せていると、恐怖を抱かせてしまうみたいだから……。
あの子をこれ以上、怖がらせないようにしなきゃ。
彼女の前でしゃがみこんだ俺は、口元を緩めて話しかけた。
「大丈夫?」
あの子はまさか、狂犬と呼ばれる俺が自分に声をかけてくるなど、思いもしなかったのだろう。
まるで傷ついた小動物のように身体を硬直させ、全身を震わせている。
――――もしも泣いているのだとしたら、俺が慰めてあげたい。
それを確かめるためには、この子とどうしても視線を合わせないといけなくてーー。
俺は彼女の指先に触れ、安心させるように優しい言葉を投げかけた。
「もう、怖くないよ」
「……っ」
顔を上げたあの子は、恐怖と驚きが混ざり合った瞳で俺を見つめる。
その目元には、涙が滲んでいた。
そう、彼に感謝をしながら。
纏わりついてきた女を強引に振りほどいて突き飛ばせば、俺の手首を引っ張っていた男の手も離れていく。
ーーただでさえ、容姿が目立つのだ。
俺は不機嫌そうに眉を伏せていると、恐怖を抱かせてしまうみたいだから……。
あの子をこれ以上、怖がらせないようにしなきゃ。
彼女の前でしゃがみこんだ俺は、口元を緩めて話しかけた。
「大丈夫?」
あの子はまさか、狂犬と呼ばれる俺が自分に声をかけてくるなど、思いもしなかったのだろう。
まるで傷ついた小動物のように身体を硬直させ、全身を震わせている。
――――もしも泣いているのだとしたら、俺が慰めてあげたい。
それを確かめるためには、この子とどうしても視線を合わせないといけなくてーー。
俺は彼女の指先に触れ、安心させるように優しい言葉を投げかけた。
「もう、怖くないよ」
「……っ」
顔を上げたあの子は、恐怖と驚きが混ざり合った瞳で俺を見つめる。
その目元には、涙が滲んでいた。