一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
 ーーほら、やっぱり。
 妹なんか目じゃないくらい、この子はすごくかわいい。

 悪魔のような女から穢されないように、守らなければと思った。

「あなた、は……」
「俺は今日から、君を守る。騎士とでも思ってくれたら、それでいいよ」

 これは偶然ではなく、運命だ。

 芝居がかった言葉と笑顔のせいで、警戒させてしまったのだろう。
 何を言われているか理解できないと不審者を見るような目をした彼女は、唇を噛みしめながら視線を逸らした。

 そんなところもかわいいと思うあたり、相当惚れている。

 一目惚れなんて、あるわけがないと。この日まで俺は、信じていなかったけど。

 彼女を目にしただけで自然と気分が上向きになるのならば。
 俺の人生にとってこの子は欠かせない存在になる。
 そんな確信を持ち、俺は心の中でほくそ笑む。

 ーーやっと見つけた。俺の運命。
 何があっても絶対に、俺だけのものにしてみせる。

「これからよろしくね」

 こうして星奈さんと出会った俺は、筋縄では攻略できない彼女と――長い攻防戦を、繰り広げることになった。

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