一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
ーーあの日以来、青垣はなぜか俺に懐いてきた。
「オレは先輩のマブダチっす!」
「友達になったつもりは、ないけど」
「そんな連れないこと、言わないでくださいよー!」
「手のかかる後輩くらいになら、思ってあげてもいいけど」
「先輩……!」
こうして、後輩と交流を深めつつ。
「星奈さんって、呼んでもいい?」
「で、でも……」
「呼び捨てとか、ちゃんづけは。なんか、違う気がするから」
「う、宇多見、さんで……」
「駄目。俺は星奈さんをあの女狐から守る、騎士だから。親密さを周りにアピールしたいんだ」
「そ、それは……」
あの子は俺が終始、狂犬と呼ばれていたのが嘘のように。
微笑みを浮かべて接していたからか。
随分と戸惑っていたようだけど……。
「せ、先輩が……。私をそう、呼びたいのなら……」
「ありがとう」
最終的には、俺だけの特別な呼び方を許可してくれた。
それがどうにかなってしまいそうだと感じるほどに。嬉しくて、仕方なかったからか。
道を踏み外した俺は、いつの間にか自分が気づかぬうちに、再び正しい道を歩んでいた。