一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「星奈さんが卒業する時、お礼をするね」
「気にしないでください。そう言うの、必要ないので……」

 さすがにそこまでは、望めないようだ。
 彼女は緊張しているようで、目元に涙を浮かべて押し黙ってしまった。

 ーーこのまま別れるのは、正直不安だ。

 俺達には年の差があるから、ずっと一緒にはいられない。
 大学生と高校生では、今までのように毎日顔を合わせるのは難しいだろう。

 ーーそれでも。

 星奈さんがいずれ、俺の妻にさえなってくれたら。
 1年間離れて暮らすなど、些細な問題だ。

 俺が定期的に連絡を取ったり、会いに来たりすれば、なんの問題もない。
 そう、思うから。
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