一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「じゃあ、また」

 この当時は彼女に愛の告白をしないまま、黙って身を引いた。
 その気がない星奈さんにグイグイと迫ったところで、怖がらせるだけだと考えていたから。

 ーーだけど。
 それが間違いだと気づいたのは、それから1年と少しの時間が経過した時だった。

 もっと早くに気づけば、あの子を失わずに済んだかもしれないのにーー。

 星奈さんの卒業式が終わった直後。
 薔薇の花束とともにプロポーズを断られた俺は、俺は天国から地獄へ突き落とされた。
 彼女との連絡が、途絶えてしまったのだ。

 取り返しのつかないことをしてしまったと後悔した俺は、それを悔やむと同時にーー彼女に対する執着心を、より強く募らせていった。

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