一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
 早く普通にしている時も、こんな風に接してほしいと願うのは、欲張りなのかな……。

「ご飯は?」
「まだ……」
「運ぶよ」

 かろうじて会話が成立する状況に、感謝しながらも。
 ないものねだりをした俺は、彼女に一言断ってから。
 細い身体を抱き上げ、寝室へと移動する。

「眠い?」
「んー……」

 ベッドに横たわった星奈さんはまだ寝ぼけているようだ。
 夢と現の境界が曖昧らしく、唸り声を上げている。

 胸元を握りしめて薄く開いた瞳を潤ませ、上目遣いで見つめてくるあたりが、小さな子どものようでもありーー誘っているようにしか見えなくて 
 ほんと、どうしようかと思った。

 かわいらしくて、仕方がない。
 大好きな星奈さんが俺を求めているのに。我慢するとか、男じゃないでしょ?

「あとで、一緒に食べよう」
「ん……。は、い……」

 そんな邪な思いを抱いた俺は、どうにか理性を押し留める。
 ーー絶対に手を出さないって、決めたから。

 その誓いを反故にするわけにはいかないと決意を新たにした俺は、彼女に覆い被さり、その瞳を覗き込む。
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