一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「そうやって俺を遠ざけようとしたって、無駄だよ」
「何を……」
「全部、知っているから。星奈さんが俺のことを、大好きだってこと」
「な……っ!」

 彼の衝撃的な発言によって、再び視線を合わせる羽目になってしまった。

 関宮先輩以外の人が好きだと匂わせるべきでは、なかったのだろう。
 選択肢を間違えたから、私はこうして抱く必要のない恐怖を感じている。

 彼の自信は、一体どこから来るのだろう?
 持ち前の性格? それとも……。
 彼が私を、妹よりも愛している証拠なの……?

「顔が赤くなったのは、図星だから?」
「ち、違います……!」

 ここで関宮先輩に抱く気持ちを、認めてしまったら。
 長い間彼が私に向ける好意を、否定し続けた意味がなかった。

 そう結論づけた私は頬を朱に染め、必死に否定の言葉を並べ立てながら。
 鍛え抜かれた彼のシックスパックをポカポカと叩き、異を唱えるしかない。

 だが、彼はまったくダメージを受けていないようだった。

 余裕綽々な笑みを浮かべた関宮さんは私の頬に触れるだけの口づけを送ると、優しい声で叱りつける。
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