一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「ちゃんづけは、子どもっぽいでしょ」
「なんですか、その理由」
「呼び捨ては、下に見てる感じがする」
「ふざけてます?」
「うんん。俺はね、大事にしたいんだ」
「何を……」
「対等でありたいから、さんづけ」

 関宮先輩が私を大切にしようとしているのは、なんとなく理解できたけれど……。
 さんづけなら、どうして対等になるのだろう?
 私にはそれがよくわからず、彼の答えを耳にしてもうまく納得できなかった。

「こっち向いて。機嫌、直してよ」

 ーー関宮先輩なんて、知らない。

 苛立った私が彼から視線を逸してそっぽを向けば。
 彼は節くれだった指を使い、ツンツンと頬を突く。

「星奈さん」
「私のやることを、否定しないでください」
「ごめんね」
「謝罪は不要です」
「これからたくさん愛を注ぐから。許して?」

 甘い言葉を囁かれたくらいで機嫌が直ると思われているのは、心外でしかない。
 苛立った私は、伝えなくてもいい余計な一言を口に出してしまった。
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