一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
「私はずっと、断ってきたはずです」
「うん。そうだね」
「それがわかっているのなら、なぜ……!」

 関宮先輩は私を愛している。
 私はその気持ちに答えられない。

 それで終わる話なのにーー彼は随分と諦め悪く、迫ってくる。

 何度告白されても無駄だ。
 彼から愛を囁かれるのは、本来であれば嬉しくて仕方がないはず。
 なのに、どうして。
 私は素直になっては、行けないのかーー。

「俺はどうしても、星奈さんが欲しいんだ」

 自問自答を繰り返している間にも。
 関宮先輩は容赦なく、私を欲する。
 それが喜ばしいと感じ、ありがた迷惑でもある。

 どれほど懇願されたとしても。

 心の奥底に眠る、関宮先輩に対する想いを素直に伝えられない私の気持ちに寄り添ってくれたなら。
 お互いに苦しまず済んだのだろう。

 関宮先輩は、卑怯だ。
 こんなにも真っ直ぐに私を求め、叶わぬ恋を成就させようと必死になっている。
 宇多見星奈は彼から手を差し伸べられるほど、魅力的な女性ではないのにーー。
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