一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む
 妹の尻ぬぐいをするためにも。
 ひとまず店を開けようと決めた私は、裏口の横に置かれた植木鉢の下から合鍵を取り出し解錠する。

「ねぇ、星奈さん。ほんとに、営業するの?」

 関宮先輩は店を開ける直前まで、こんな状況で開店する必要はないと反対していたがーー。

 私はそれを押し切り、出入り口に立てかけられたプレートを“OPEN”に変更すると、通常通り店を開けた。

「ここにずっと居ても、暇ですよね。関宮先輩は、お休みなんですから。自宅でゆっくり、羽根を休めてーー」
「星奈さんが厨房の中で、作業しているのを見るの。好きなんだよね」

 気を利かせて伝えたつもりだったが、彼は私のそばを離れるつもりんど一ミリもないようだ。
< 90 / 185 >

この作品をシェア

pagetop