一途な消防士は、初恋の妻を激愛で包み込む

 関宮先輩は宣言通り、私の勤務姿を定位置の二人かけテーブル席に座って、じっと見つめていた。

 女性客の接客をする際は、優しく口元を緩めるがーー。
 相手が男性客だと知った瞬間に、彼の瞳には嫉妬の炎が宿る。

『俺の星奈さんへ、必要以上に話しかけないでくれる』

 無言で圧をかけるその姿に男性客が怯えるレベルとなれば、営業妨害もいいところだ。
 普段は陽日さんがいるから、そうした視線はあまり気にならなかったけれど……。

 あの子がいないと、こうも変わるのか。

 私は関宮先輩の様子に恐れを抱くと同時に、何度も打ち明けてきた彼の気持ちは嘘ではなかったのだと思い知らされた。

 ーーあの人のことが好きなのに。
 妹の好きな人だからと遠慮して、想いを伝えられずにいるなんてーー。

 あの子にも、関宮先輩にも。
 私はとても、酷いことをしている。

 早くこの気持ちを捨てなくちゃいけないのに。
 求められるたびにもっと好きになってしまうのは、どうしてなのだろう……?
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