このヒカリの下を、もう一度君と
⑩
倒れた男はピクリとも動かなくなった。
「あ……、お、俺……」
刃物が涼太の手から落ちて固い音を立てた。
「涼、太……」
もう訳が分からなくなっていた。
何で、何で?
何があったの?
何でパパとママはいないの?
何でお姉ちゃんが冷たくて固くなってるの?
何でお姉ちゃんはいつもみたいに私を抱きしめてくれないの?
何でお姉ちゃんは私を呼んでくれないの?
何で、お姉ちゃん笑ってないの?
何で、
何で、
涼太は泣きそうな顔で、
手が真っ赤に染まってるの?
嫌だ、
もう嫌だ。
これは夢だ、
そう、夢なんだ。
目が覚めたらパパとママがいる。
お姉ちゃんは太陽みたいな笑顔で私を抱きしめてくれる。
涼太が私の手を引いて歩いてくれる。
そう、これは夢。
そう思って目を閉じて、
ゆっくりと開けるのに、
目の前の現実は変わらない。
「優奈姉……」
涼太がゆっくりとお姉ちゃんに近づいてくる。
「涼太……」
赤い、
涼太の手が、真っ赤だ。
何で?どうして?
どうして、涼太の手は赤いの?
「優奈姉……、何で……、
どうして……!!」
座り込んで震える手でお姉ちゃんに触れる涼太。
どれ程の時間が過ぎたのだろうか。
数分だったのかも知れない。
涼太は、お姉ちゃんに触れながら泣いていた。
涼太の涙が、
私を現実に連れ戻す。
お姉ちゃんは、
いないんだ。
パパとママも、殺したってあの男が言ってた。
パパもママもお姉ちゃんも、
殺されたんだ。
涙がとめどなく流れては落ちていく。
パパ、ママ、お姉ちゃん。
パパ、ママ、お姉ちゃん。
「やだ、
嫌だよ、
パパ、ママ、お姉ちゃん……!」
お姉ちゃんにすがりついて泣いた。
「陽奈……」
そんな中、涼太が私の名前を呼ぶ。
顔を上げると涼太が私に手を伸ばしてきていた。
「嫌……!」
思わず涼太の手を払い除けた。
「陽奈……」
違う、涼太が嫌なんじゃない、
涼太の手にまとわりついた、
あの男の血が、
嫌なの。
涼太じゃないの……!
そう言いたいのに声が中々出ない。
「違うの、違う……
涼太じゃなくて……」
「水川さん!?
どうし……、
きゃあぁぁぁぁー!!」
やっと絞り出せた私の言葉は近所の人の叫び声にかき消された。
その叫び声に近所中の人が集まってきた。
「涼太……!」
集まり騒ぐ人達に囲まれる中、涼太の名前を呼び必死に涼太に手を伸ばす。
だけど、大人達が涼太を連れていってしまった。
最後に見た涼太は、
見た事もない悲しく、絶望した顔で、
私を見ていた。
「あ……、お、俺……」
刃物が涼太の手から落ちて固い音を立てた。
「涼、太……」
もう訳が分からなくなっていた。
何で、何で?
何があったの?
何でパパとママはいないの?
何でお姉ちゃんが冷たくて固くなってるの?
何でお姉ちゃんはいつもみたいに私を抱きしめてくれないの?
何でお姉ちゃんは私を呼んでくれないの?
何で、お姉ちゃん笑ってないの?
何で、
何で、
涼太は泣きそうな顔で、
手が真っ赤に染まってるの?
嫌だ、
もう嫌だ。
これは夢だ、
そう、夢なんだ。
目が覚めたらパパとママがいる。
お姉ちゃんは太陽みたいな笑顔で私を抱きしめてくれる。
涼太が私の手を引いて歩いてくれる。
そう、これは夢。
そう思って目を閉じて、
ゆっくりと開けるのに、
目の前の現実は変わらない。
「優奈姉……」
涼太がゆっくりとお姉ちゃんに近づいてくる。
「涼太……」
赤い、
涼太の手が、真っ赤だ。
何で?どうして?
どうして、涼太の手は赤いの?
「優奈姉……、何で……、
どうして……!!」
座り込んで震える手でお姉ちゃんに触れる涼太。
どれ程の時間が過ぎたのだろうか。
数分だったのかも知れない。
涼太は、お姉ちゃんに触れながら泣いていた。
涼太の涙が、
私を現実に連れ戻す。
お姉ちゃんは、
いないんだ。
パパとママも、殺したってあの男が言ってた。
パパもママもお姉ちゃんも、
殺されたんだ。
涙がとめどなく流れては落ちていく。
パパ、ママ、お姉ちゃん。
パパ、ママ、お姉ちゃん。
「やだ、
嫌だよ、
パパ、ママ、お姉ちゃん……!」
お姉ちゃんにすがりついて泣いた。
「陽奈……」
そんな中、涼太が私の名前を呼ぶ。
顔を上げると涼太が私に手を伸ばしてきていた。
「嫌……!」
思わず涼太の手を払い除けた。
「陽奈……」
違う、涼太が嫌なんじゃない、
涼太の手にまとわりついた、
あの男の血が、
嫌なの。
涼太じゃないの……!
そう言いたいのに声が中々出ない。
「違うの、違う……
涼太じゃなくて……」
「水川さん!?
どうし……、
きゃあぁぁぁぁー!!」
やっと絞り出せた私の言葉は近所の人の叫び声にかき消された。
その叫び声に近所中の人が集まってきた。
「涼太……!」
集まり騒ぐ人達に囲まれる中、涼太の名前を呼び必死に涼太に手を伸ばす。
だけど、大人達が涼太を連れていってしまった。
最後に見た涼太は、
見た事もない悲しく、絶望した顔で、
私を見ていた。