このヒカリの下を、もう一度君と

「じゃあねー、陽奈!」

「バイバイ、未希」

放課後、未希とふたりで買い物にいき軽くお茶をして駅で別れた。

ひとりになりホッと息を吐く。

朝ほどではないがそれなりの満員電車に乗り、後は家へと帰るだけ。

家、なんて言ってもそこはお婆ちゃんの家だ。
あの事件の後、私は母方の祖母に引き取られた。
まだ小学生だった私を引き取り本当に優しく暖かく見守り育ててくれた。
感謝している。

だからこそ、私も表面上だけでも普通の女の子でいなきゃと思った。
あの事件は辛く悲しい事だったけれど、それを乗り越え今は楽しく生きている、
それがまわりの求めた生き方だったから。

……乗り越えられる訳がない。
理不尽に命を奪われたパパとママとお姉ちゃんを思うと今でも叫び出してしまいそうだ。

もしも犯人がまだ生きてたら、
私が殺してやりたい。
だけど、犯人はもうこの世にはいない。

だって犯人は、あの日、

涼太が殺したから。




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