DEEP BLUE
「……そんなに付けたいの?」
「はい。付けたいです。」
「でもこれはさすがに……」
「……ですよね。戻してきます」
あたしの会話を遮り、太郎はトボトボとストラップを元あった場所に戻しに行った。
その背中が何だか本当に寂しそうで、あたしの良心が痛む。
「……もうっ……」
あたしは小走りで太郎に近づき、太郎がストラップを戻そうとした手を握った。
「……え…」
太郎は目を真ん丸にして驚き、手を止めた。
「は、え?愛美さん?」
「……貸して」
「え?」
「買うから貸してっ!」
半ば強制的に手を差し出した太郎から、ストラップを奪い取るように受け取るあたしの顔は、相当真っ赤な色だっただろう。
「ま、愛美さん……」
「買ってくる」
あたしはその表情を隠す様に、再び小走りでレジへ駆け出した。