DEEP BLUE
今思えばあれはきっと太郎の不器用ながらも遠回しな告白だったんだ。
あたしはそれに気付いてないフリをして、そのまま何も言わなかった。
………ずるい、よね。
だってあの人のことは完全に吹っ切れてはいない。
そんな気持ちで太郎とつき合って太郎を傷つけたら?
………あたしにはそんな器用な振る舞いは出来ない。
それでも太郎は変わらなかった。
あたしはあたしなりの行動として、水族館で買ったイルカの片割れのストラップをケータイに付けた。
「あれー?
まなちゃんこのイルカ可愛いーねー!」
「……うん」
「でもまなちゃんがこんな可愛い感じのストラップ付けるなんて超ー意外ー!!!」
「……いいじゃん別に」
「でもそのストラップ、どっかでも見たようなー……?
何でだろ??」
「さぁね」
あたしは萌がからかって来るのが何だか不快で、ケータイを隠すようにバッグにしまった。
お揃いなんて、あたしははっきり言って嫌いだ。
だって失くしてしまったら申し訳ない気持ちに苛まれるし、逆に相手に先に外されて、寂しい気持ちになるのが嫌だから。
……でもあの時お揃いを断った時の太郎の寂しい顔が、何故かあたしの頭に焼き付いていて、離れなかった。
何だか付けないと呪われそうな気でもしたから、あたしは仕方なく付けてあげた。
「あ」
………太郎はあたしのストラップが付いているケータイを見つけた時、忘れられないくらい嬉しい顔をしていた。