DEEP BLUE
太郎とはそれ以降、以前よりグッと距離が近くなった。
「愛美さん、おかえりなさい」
「ただいま」
いつもあたしの帰りを待っててくれる太郎がいた。
いつの間にか
「おかえり」と言ってもらうことを楽しみにしているあたしがいた。
「今日ラーメン行っちゃいますか?」
「いや!!今日は太る!」
「そうですねー最近愛美さんちょっと太っ……」
「ヤダやめてよマジヘコむんだけど‼‼」
「あははっ冗談ですよ」
いつも冗談言ってふざけて笑って
悲しい事があれば、そのままドライブに出掛けて夜の海で気が済むまで話を聞いてくれた。
店にも嬢仲間にも、誰にも内緒で二人で休みを合わせ、何度も太郎と夏の海へ潜った。
──────……ザァァンッ…
よく太郎が連れて行ってくれた海は透明なブルー一色で
潜れば、さらに海の神秘的なブルーに魅せられて
カラフルな魚と一緒に青の底へ、太郎と手を繋いで泳いで行く。
──────……コポッ……コポコポッ…
沈んだ海の中でふいに上を見上げると、空かと思うくらい青一色で
吐いた息が泡となって、その空の彼方へ消えて行く。
「──────綺麗…」
時々、そんな海の空を見上げては手を伸ばし
その手を太郎がギュッと握り締めて引き上げてくれる。
──────…コポッ……
誰もいない、青の世界。
あたし達は、いつもそんな深い海の底にいた。