DEEP BLUE




「───…ぷはっ!」





ザバッと海から顔を出すと、続いて太郎も水面に浮上。

日差しに反射する水面が、今日は一段と輝いて見えた。



この夏の暑い景色は、今日もいつもと変わらなかった。




「愛美さん、泳ぎ上手ですね!」


「ありがと。さすがに太郎には負けるけどね★」


「泳いでる愛美さん綺麗です。人魚姫みたいで。
夢中で見ちゃいました。」


「なっ……!!ちょっとエッチ!」



バシャンっと水をかけ、真っ赤に顔を染めながら逃げる様に岸まで泳ぐ。



でも太郎にはかなわない。

 



「愛美さん」




すぐに追い付かれ、後ろから抱き締められた。

触れるか触れないくらいのキスをして。





パシャ……




あたしはワザと水音を立て、胸のドキドキする音を聞こえないようにした。
 

太郎とはキス以上は進まなかった。

いや進めなかった。



でも私の中で太郎の存在が少しずつ大きくなり始めると同時に、あの人の存在はだいぶ薄れてきていた。



………だから、もうそろそろちゃんとあたし自身のフィルターで太郎のことを見れる気がしていた。




そのキッカケをくれたのも、太郎だった。


 
「あの、愛美さん」


「なに?」




あたしは抱き締められながら問い返した。



でも後ろから抱き締められているせいで、彼の表情がいまいちよく分からなかった。


でも何となくおずおずしてるのは分かる。



………なんだろう?



彼はあたしの肩に顔を乗せ、あたしの耳に問いかけた。

   




「……来週………


良かったら、ここよりもっと綺麗な海に行きませんか?
 


……愛美さんが良ければ。」



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