DEEP BLUE
「……え……」
「ちょっと遠くて、日帰りじゃ無理なんですけど……
あの………」
それ……って………旅行ってこと?
だよね。
ど、どうしよう。
……悩みまくっていたその時だった。
カタカタ……
あたしを抱き締めている太郎の手が若干震えているのに気が付いた。
え……もしかして誘っておいて緊張してる?
振り向くと、予想通り真っ赤でうつ向いている太郎の姿。
タコみたいで可愛い。
赤くなって小さくなっている姿を見たら、何だか笑いが込み上げて来た。
「………あははっ★」
「ま、愛美さん?」
ついぷっと吹き出し、そのタイミングで太郎の手が緩んで、あたしは笑いながらすいすいと岸まで泳いで行く。
「ちょっと愛美さんっ……」
「仕事。また合わせて休まなきゃね〜」
「……え?」
まさか、という表情で太郎はキョトンと海に浮かんでいる。
「一緒に行ってくれるんですか?」
信じられない、と声が少し震えている太郎にあたしは笑顔で振り向いた。
「いいよーっ!!」
「……その日、愛美さんに聞いてほしいことがあるんです。」
太郎にギュッと手を繋がれ………
脳裏に好きだった人の顔が揺れては消えた。
「……うん」
「も、もしちゃんと言えなかったらカッコ悪いんで、手紙書いてきます。」
「えぇー……そこはビシッと決めてよー」
ついつい突っ込んでくすくすと笑ってしまった。
「楽しみにしてるね」
……あたしは笑って、太郎は何回も頷いて。
確かに二人で約束を交わした。