敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
どうやら誓野さんが役員たちから話しかけられるのを見ていたらしい。それに誓野さんのただならぬ佇まいは、素人目にも明らかだ。

「困るんだよねー、君みたいに文学のブの字も知らないボンボンに土俵を荒らされると。作品のクオリティが落ちるじゃないか」

「誓野さんは、そういうのでは――」

反論しようとすると、誓野さん自身に手で制された。

見上げれば意志の強い眼差し。神宮司先生はその迫力にちょっぴり気圧されたみたいにのけぞった。

「石楠花先生が影響を受けた作家や作品についてはすべて目を通しています。先生ご自身の著作やインタビュー記事、取材で訪れた資料館や文豪ゆかりの地なども足を運びました。編集者として意見できるだけの知見は深めたつもりです」

驚いて彼を見上げる。私が影響を受けた作品なんて、どれだけあると思っているの?

インタビューで答えただけでもかなりの数。それを全部だなんて。

しかも文豪ゆかりの地って……だから甘味処のことも知っていたの?

「な、なんだよ、それ……。お前の方こそストーカーじゃないか」

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