敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
手には一冊の週刊誌。白黒のページを開き、叩きつけるように俺のデスクに載せる。

「……なんですか、これ」

記事に視線を落とし、その見出し文字を目にした瞬間、湧き立ったのは激しい怒りだった。

「こんなもの……! 誤報です!」

突然声を荒げた俺に、デスクについたばかりの吉川さんが立ち上がる。俺は難しい顔で立ち尽くす編集長に食ってかかった。

「この写真は彼女ではありません。取り下げの要求と、名誉棄損、損害賠償請求をすぐにでも――」

「もちろんそうする。だが訴訟を起こしたところで長期戦だ、新刊の発売に間に合わない。売り上げに影響する」

なにごとかとやってきた吉川さんが、開かれたページを見て「ひっ」と悲鳴を上げる。

「なんなんですか、この根も葉もない記事は」

見出しには、『ベストセラー作家・石楠花みどり 金で男を買う女・ホスト通いの実態』そんな文字が躍っていた。

奥歯をかみしめ、編集長に「いつ発売ですか」と確認する。

「明日だ。これが発売されれば、石楠花先生初のスキャンダルになる。自宅に報道陣が押し寄せるぞ」

「――っ!」

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