敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
俺は週刊誌を丸め持ちコートとビジネスバッグを抱え、すぐさまオフィスを飛び出す。

車を取りに自宅へ戻ると、荷物を後部座席に放り込み、急ぎ彼女のもとへ向かった。



***



新作『大正浪漫恋謳・花薫る風の便りに』はすでに私の手を離れた。あとは発売を待つだけである。

とはいえ、次回作は走り出していて、のんびりする暇もない。

吉川さんが『今度はみどり先生が大得意な壮大な歴史もので行きましょうか!』とゴーサインをくれた。大急ぎで企画書を仕上げなければ。

新作が発売するまで誓野さんは文芸編集部にいるらしく、今もまだ家事を手伝いに来てくれる。

だが今なら多少はスケジュールに余裕があるので、お掃除やお料理を少しだけ手伝ってみたりもしている。

この日、誓野さんは午後から来てくれる予定だったが、玄関のチャイムが鳴ったのは予定より早い午前十一時だった。

「はーい」

しかし、玄関で出迎えた彼は肩で息をしながら、深刻な顔で「すぐに荷造りをしてください」と言い放つ。

「荷造りって……また合宿でもするんですか?」

あまりにも唐突で目を丸くしていると、彼は「詳しくは中で」と言って早々に部屋に上がり込んだ。

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