敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
「どうしてリノベーションなんてしちゃったんですか……!」

歩くとぎしぎしいって隙間風が吹くくらいの方が、創作意欲がかき立てられてよかったのに……!

「綺麗に改修された住まいを見て残念な顔をするのは、あなたと祖母くらいのものだ」

苦笑する彼。まあ、さすがに耐久年数や耐震性の問題もあるし、昔のまま残しておくわけにはいかなかったのだろう。

それに玄関にはスロープ、部屋の戸口は段差のない引き戸、完全なるバリアフリーを見て、いつでもお祖母様がこの家に帰れるように改築したのではないかな?と思った。

そういう見方をすると、息子や孫たちの優しさの詰まった家なのだとわかる。

「奥に客間があるから、自由にして」

彼が荷物を運びながら部屋を案内してくれる。

茶の間――というかリビングはお洒落な和モダン。床はフローリングで、ソファやテレビボードなど洋風な家具が配置されているが、柱や天井に使われている木材とマッチしていて和を感じられる。

大正ロマンや昭和レトロともまた違う。私が知らなかった現代の温故知新がそこにはあった。

「……前言撤回します。私この家、好きです」

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