敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
まあ、好きにやっていることなので文句などないのだけれど。

「本当に毎日撮った写真か怪しいな。着物と花を入れ替えて撮ってるだけかもしれない」

記者の男性が粗を探そうと躍起になる。誓野さんがすかさず反論した。

「窓の外の景色が移り変わっていることから、同じ日ではないと証明できるかと」

「CGの可能性もある」

「写真のメタデータに撮影日時や位置情報なども入っていますので、偽造ではないといくらでも証明できます」

男性がチッと舌打ちする。

「これらの写真は新作『大正浪漫恋謳・花薫る風の便りに』の発売にあたり、石楠花先生の六十日間を密着するという企画で撮影されました。実際にはこの三十倍以上、二千枚にのぼる写真が存在しています」

「え」

思わず声を上げたのは私の方で、ふと横を見れば編集長がにこにこ笑っていた。

やっぱりこの人たち、私の写真集を出すつもりなんじゃ……。

「一日十六時間、休みなくだって? ずっと見張っていたような言い方だが、編集部の人間が付きっ切りだったってことか? それこそ横暴だ、スタッフを二十四時間こき使って女王様気取りか」

まだ言うか。この男性はどうあっても私を悪者にしたいみたいだ。

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