敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
ゆっくりと唇が近づいてくる。いつかもこうして顔を寄せて、吐息が感じられる距離まで近づいたけれど、そのときは約束をして終わりだった。でも今は――。

「だけど少しだけ、俺のことも見てくれると嬉しい」

そう言って今度こそ優しく唇に触れる。

温かくって柔らかくって、ふわりとした吐息と湿潤な粘膜の感触が、私の唇と舌先を軽く撫でた。

「ん……」

幸せが溢れてくる。ようやく約束が叶った安堵と、初めて心から信じ合える人ができた喜びと。

小説に全振りする人生のままでは、味わえなかった幸福だと思うから。

「少しだなんて言わないで」

相変わらず頭の中は文学と仕事ばかりだけど、それはそれ。

比べられないくらい、私の中で勇さんの存在は大きいから。

「たくさん、私のそばにいてください」

そうお願いして、こちらからお返しのキスをする。

ちゅっという甘い響きに勇さんは笑みを浮かべ、私を強く抱きしめた。




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