敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
「なんと伊達メガネだったんです。本性は韓流アイドルもびっくりなお色気イケメンでした。なんだか騙された気分です」

《あはは、真面目なイケメン、素敵じゃありませんか。なにがいけないんです?》

「モテ男には関わりたくありません」

吉川さんは《あらあら》と言って朗らかに笑った。

《誓野さん、仕事の腕もいいそうですから。異動する先々で華々しい成果を上げているんですって。そんなイケメンにお世話をしてもらえるなんて、役得だと考えてみてはいかがです?》

吉川さんがうふふと軽快に笑う。

「しかも、急に恋人になってとか言い出すんですよ!? いくら執筆のためとはいえ――」

《まあ! みどり先生、恋人ができたんですか!?》

「いや、あの、概念的恋人というか。お触りはナシの約束で、執筆のために仕方なく――」

《よかったわ、心配してたんですよ。先生、全然男性に興味ないから、恋のひとつもしないままおばあちゃんになっちゃうんじゃないかと思って。でも、誓野さんなら安心ですね》

「いや、だから、私、男性が嫌いだって――」

どこか論点のずれた会話を続けていると、ピンポーンと来客を知らせるチャイムが鳴った。

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