敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
インドアな私に行きたい場所は少ない。それこそ文豪が愛した甘味処とか、歴史資料館とか――それらもあらかた行き尽くし、あらためて行く必要性を感じない。

だったらなにかやりたいことはないか。ふと思いついたことがあって、私は彼に向かって人差し指を立てる。

「でしたら明日一日、私に付き合っていただけませんか? ここで、やりたいことがあるんです」

そう伝えると、彼は不思議そうな顔をしながらも「はい、もちろん」と快諾してくれた。

「では、詳細は明日に」

それだけ伝え、彼には部屋に戻ってもらう。

これまで作品を仕上げるためにさんざん尽くしてもらったけれど、一段落した今、もう彼は私の面倒を見る必要はないのだ。

毎日欠かさず原稿に向かい文字を書き続け、ようやくの休息。それは彼にとっても同じ。

だからこそ、明日は彼のために使おうと心に決めた。




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