敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
あとは文章をブラッシュアップし、校閲などを経て初春には完成、そして夏前に発売だ。

「お役に立てたならよかった」

「役に立ったどころか。全部誓野さんのおかげです。本当に助かりました」

彼がそばにいてくれなければ書けなかった物語だ。深く頭を下げると。

「俺は俺の役割をまっとうしただけです」

その言葉を耳にした瞬間、じくりと胸の痛みを感じた。

ここまで献身的に支えてくれたのは仕事だから、そうわかっていたはずだ。

だが、これまで味わってきたカヲルの高揚、胸の高鳴りはフィクションだったのだとあらためて思い知らされて、虚しさに襲われた。

……今私の目の前にいる誓野さんは、恋人なんかじゃなく、ただの編集者だ。

黙って顔を上げると、誓野さんの優しい表情が目に飛び込んできて、余計に苦しくなってくる。

私の表情が浮かないのを察したのか、彼がにっこりと笑って切り出した。

「一度リフレッシュしましょうか」

「リフレッシュ、ですか?」

「ずっと缶詰だったでしょう? 気分転換に行きたい場所でもあればお連れしますよ」

そう提案され、私はうーんと首を捻る。

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