敏腕編集者の愛が重すぎて執筆どころじゃありません!~干物女な小説家は容赦なく激愛される~
そのまましてくれてもよかったと思っている自分がいる。彼も一瞬そう思ったに違いなかった。
でもそうしなかったのは、きっと己の立場を自覚したからだ。
私も彼も相手を想うのと同じくらい、それぞれの抱えるものを大事にしたいと思っている。
「いつか俺が担当を外れて、ひとりの男としてあなたの前に立てるようになったら――」
私の肩を支えながら手を握る。情熱を押し込めるように、きゅっと指先を絡めた。
「翠さんがそのときもまだ俺に触れられてもいいって思えたなら、そのときは」
そのまま言葉が途切れたが、続きはなんとなくわかる気がした。
これは約束。『いつか』なんて曖昧で、その日が来る実感すらなく、そのとき私が彼を好きでいる確証もないけれど。
「……はい」
肯定したのはその『いつか』が訪れたとき、そんな気持ちでいられたら素敵だなと思ったから。
今すぐ彼とどうしたいとか、どうなりたいとか、はっきりとは考えられないけれど。
彼と一緒に歩んでいく未来も悪くないと感じている自分がいた。
でもそうしなかったのは、きっと己の立場を自覚したからだ。
私も彼も相手を想うのと同じくらい、それぞれの抱えるものを大事にしたいと思っている。
「いつか俺が担当を外れて、ひとりの男としてあなたの前に立てるようになったら――」
私の肩を支えながら手を握る。情熱を押し込めるように、きゅっと指先を絡めた。
「翠さんがそのときもまだ俺に触れられてもいいって思えたなら、そのときは」
そのまま言葉が途切れたが、続きはなんとなくわかる気がした。
これは約束。『いつか』なんて曖昧で、その日が来る実感すらなく、そのとき私が彼を好きでいる確証もないけれど。
「……はい」
肯定したのはその『いつか』が訪れたとき、そんな気持ちでいられたら素敵だなと思ったから。
今すぐ彼とどうしたいとか、どうなりたいとか、はっきりとは考えられないけれど。
彼と一緒に歩んでいく未来も悪くないと感じている自分がいた。