桃色
部活が終わって、なつと千絵との帰り道。

なつがいきなりこんなことを言い出した。


「三宅ってさぁ、ぜったい水嶋のこと好きだって!!」


三宅っていうのは、ヒロ君のこと。

水嶋っていうのは、私ね。


なつは私のこと名字で呼ぶの。


何でかは分からないけど・・・。



「えっ、何?なんでそう思うの?」


千絵がびっくりして聞く。

そんな千絵を見て、なつは嬉しそうに話し始めた。


「だってね、水嶋の髪の毛いっつもさわってるし、いっつも話してるし。そんなん、見てたら分かるよ〜」

「違うよ、たまたま席が隣だからだよ!」


私は慌てて否定した。


「それに、ヒロ君彼女いるし・・・」


私はヒロ君が彼女のことをすごく大切にしてることを知ってたし、大好きなことも知ってたから、胸が痛かった。


でも、この時はただヒロ君が好きだから毎日、話をする・・・。

時々、髪の毛を触られる。


同じ夢を持っている。



それだけでよかったんだ。


それだけで私には十分だった。




< 8 / 500 >

この作品をシェア

pagetop