桃色
私とヒロ君は、ほとんど毎日話をする。


それは本当に些細なことで。


昨日見たテレビの話や、友達の話といったありきたりなもの。


私にとって、ヒロ君との会話がいつの間にか当たり前になっていた。




ヒロ君のニカッって笑う顔が好きだった。


今日も私の髪の毛を触りながら話しかけてきた。


「俺な、美容師になりたいんよな〜」

「えっ、そうなの?」


私は恥ずかしいのと嬉しいのでそんな返事しかできなかった。



・・・・・びっくりした。

だって、私の夢も美容師だから。


好きな人と同じ夢持てるなんて、すごくない??


将来は、一緒にお店出したりして・・・。


私の髪はヒロ君が切ってくれるの。


私の妄想はどんどん膨らんでいく。




・・・そして、気付いた。
 

だから、髪の毛触ってきてたんだ。


そしてもう一つ、私はあることにも気付いてしまった。


クラスを見回して見ると、クラスで髪が長いのは・・・・・私だけだった。


なんだ、そうだったんだ・・・。


私、練習台にされてただけだった。


もしかして??なんて・・・ちょっとだけ期待していた自分が恥ずかしくなった。



ヒロ君、あなたの夢は叶いましたか?


私の夢は変わってしまったよ・・・。


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