わたしのスマホくん
「……碧くん?どうかした?」
「ん?あぁ……ぼくの中のデータにはないものばかりだから、つい。……小さい時もかわいいね」
あ──
顔を上げた今の表情、今までで一番柔らかかったかも。
碧くんはまたアルバムに視線を戻す。
「本当だー……かわいい!これボクにもデータないから撮っちゃおっと」
「あ、ぼくも」
──撮る?
2人とも、目を細めたり開いたりしだし……それをみつめていれば、
カシャッ。
体のどこからか、シャッター音がした。
目で、撮ってるんだ……。
「うん、うまく撮れた」
「ボクも。ねぇ新人、他のところもはやくめくってよ。ちがうのも撮りたいから」
「わかった」
珍しい、というよりはじめての光景だ……。
なにかと碧くんに冷たく強かった桃李くんが自分から碧くんの隣に座ってる。距離感がいっきに近くなった。
アルバムをめくるたびに、これがいい、そっちがいい、と言う声が聞こえてくる。
このまま、少しでも仲良くなってくれたらいいな。留守番も長いことだし。
「……よし」
2人がアルバムに集中してる間に、片付け進めておこう。