わたしのスマホくん



「──はい、10分経った!」

5台分のスマホのタイマーが10分経過を告げるために鳴り響く。お、おおきいな。


「よっしゃ、今回は俺と碧が構ってもらうばんなー。……って、んなこわい顔しないでもらえます?」

かれこれ2時間ちかく、勉強と構う時間を交互にむかえてる。2人ずつ、ランダムに構うということを繰り返していて……そのランダムの決め方はあみだの機能があるのか、スマホくんたちが1回ずつ運試しをして決めている。
パッと見は人だから、実際スマホを見てないわたしからはあみだくじの様子はわからないけど。

そしてあみだに外れると、構ってもらう側の2人をすごいにらむ、という……。だから当たった子がわかりやすい。
今は明華くんと碧くんのターンになったわけだけど、構われない側はソファに戻るというルールがもうけられたため、莉雨くんをのぞいたお2人からの視線がすごい。

「なんか……構ってもらって嬉しいはずなのに、前からの威圧感がたっぷりすぎてやべぇな」
「そう?ぼくは幸せ」

ペンを置いたわたしのもとへ来た2人。
明華くんは円華くんと桃李くんからの圧に顔を上げないけど、やはり碧くんは安定の碧くん。
何も気にしてません。

「……はい、10分経った」
「いや、おかしいだろ!」

円華くんひとりが、10分経ったとアラームを鳴らす。
実際はまだ3分ほどしか経ってないのに。
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