わたしのスマホくん


「……っち」
「そこ、舌打ちしない!運なんだから仕方ないだろ!当てられない自分が悪い」
「僕に運がないとでも言いたいの?明華」
「そうじゃなくてだなぁ……」

色違いの2人が騒ぐ中、わたしはひたすら碧くんをナデナデ。

ソファに座る桃李くんは、それを見てかどんどんほおがふくらんでいく。
莉雨くんは最早見ないように、お父さんのアイマスクを拝借(はいしゃく)していた。
ものすごいキラキラな目のアイマスクだから、莉雨くんがしてると面白い。


そして、正式に10分のお知らせで皆も近くの碧くんからもアラームが鳴った。


「あ!!俺当たったのに全然構ってもらえてない!」
「次、絶対僕になるから」
「いやいやボク!」
「ありがとう青空。また宿題頑張って」
「自分も応援してる」

「ありがとう」

わたしがまたペンを持ち直せば、静かにしないといけないと察して、いっきに静かになる。

もちろんずっと静かなわけじゃない。
授業中に小声で話してしまうレベルのヒソヒソ声は聞こえてくる。

『明華に2連続はさせないから』
『ボク2連続はずれだよ!?』
『運だからな、分からないだろ?』
『莉雨、次来るといいね。ぼく当たったから』
『うん……当たるよう祈ってて』

後半の2人は穏やかな空気が流れている。

『当たってもボクにゆずって』
『お子ちゃまはさっき腕の中で寝たでしょ!』
『関係ないもん!』
『お前ら少しうるさいって!』
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