わたしのスマホくん
『学校はもう地図見なくても行ける……ぼくもだんだんさびしい病になってきた』
『……ごめん、自分も重症になってきた。青空が戻るまでひんしになる未来しか見えないっ』

と、碧くんと声が震える莉雨くんまでもが円華くん派になってしまい……

『よーし!これは行くしか!』
『ないね。ほら行くよ。明華だけ留守番なら止めないけどね』

『お、おいっ……んー!あーもう!分かったよ!俺も行きたい!行きますとも!』


──というくだりになり、今に至る。

それでこの会話の音声を、莉雨くんが再生してくれたからどんな流れだったのか、大体把握できた。

「声撮ってたのか……ごめんな?青空。円華と桃李がムービーの通りきかなくて……」

申し訳なさそうに頭をさげる明華くん。だけど、もちろん攻めるつもりは全然ない。

「なんで僕?明華だって最後は行きたい!ってノリノリだったくせに」
「そーだそーだ!」
「い、いやぁ……それはー……(みと)めます」

明華くんが止められなかったら、もう多分無理。

だからこうして5人が学校まで来たわけだけど……あまりにも注目を浴びすぎる。

「と、とりあえず話は帰りながらにしようか」

これ以上さわがれるのはちょっと……。

「じゃあそら、かばん貸して!いい男はかばんを持ってあげるの」
「いい男?お子ちゃまなのに?」
「お子……ふんだっ。ボクは今いい男になるの」

かばんを持ってくれた桃李くん。
円華くんのお子ちゃまにものらないとは……でもふくれてる。かわいい。
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