わたしのスマホくん
でも、学校帰りに何も持ってないというのは変な感じ──
「……っ!碧く……」
両手があいてたところに、後ろから手をつながられた。
「ん?手あいたから、つないでもいいかなって。ほら、自転車とか危ないし」
そ、そんなさりげなくつながれると、こちらとしては不意すぎて心臓はやくなるのですがっ。
「なら自分もつなぎたい。さびしい病重症気味だったから……」
伸ばされた莉雨くんの手、震えてる?ムービーの声も震えてたっけ。しかも具合悪い人みたいに見えるから、急いでにぎってあげた。
「あー……これちょっぴり充電も出来るし、あったかくていいね。自分、お家着くまでこのままがい──」
ポン、と莉雨くんの肩に手がおかれ、のぞき込んできたのは、明華くんと円華くん。
「俺とも交代してくれよ?」
「僕もいるんだから、交代しないわけ……ないよね?」
「……は、はい」
円華くんの圧力がすごすぎて、穏やかになった莉雨くんの顔が青ざめてしまった。それで明華くんが注意してくれてるけど。
「あおーボクとも……あ、信号でかわりばんこしよ」
「いいよ。じゃあ……63m先だね」
「わかった!」
信号でかわることに決め、歩き出すもまだ視線がいたい。……でも、さびしい病って。
「ふふっ」
視線は気になるけど、ムービーの会話もかわいらしいなほんとに。
「ん?どうしたの?」
急に笑ったわたしを不思議そうに碧くんが見つめる。
「ううん、5人ともかわいくて」
「僕はかっこいいがいい。かわいいは、お子ちゃまだけでしょ」
「ボクはそらにほめられるなら、なーんでもウェルカム!うれしいもん。あ!信号!」
留守番中の雑談内容を聞きながら、つなぐ相手を交代しつつ帰路についた。……生徒以外にすれ違う人にも見られながら。