いつも君のとなりで
そして、わたしたちは会社近辺にあるパスタ屋さんでランチをしてから会社へと戻った。
「あそこのパスタ美味しかったね。」
「そうですね。今度、また行きましょう。」
そう話しながらエレベーターから降り、お互いの事務所に戻ろうとした時だった。
「奈央。」
名前を呼ばれ、ふと声がした方を見ると、社内食堂がある方から広人が歩いて来た。
わたしは足を止めると「もう下の名前で呼ぶのやめてもらえる?」と言った。
「じゃあ、松雪主任。」
「何ですか?田岡チーフ。」
「営業一課の糸師くんとは、仲が良いんですね。いつからですか?」
広人がそう言うと、わたしのすぐ横に糸師くんが来てくれて「それは、田岡チーフに何の関係があって訊いてるんですか?」と言ってくれた。
「いや、それは、、、」
「松雪主任とは、昨日から仲良くさせていただいてます。彼氏と別れたと聞いたので、僕から松雪主任にアプローチしているところなんですけど、、、何か問題でもありますか?」
糸師くんは冷静な口調でそう言った。
広人は「別に、、、」と呟くように言って、それ以上言葉が出てこないことを自分で悟り、フンッとまるで漫画に出てくるような不貞腐れぶりで総務課の事務所へと入って行った。
「何あれ。」
わたしがそう呟くと、糸師くんは「まずは1ダメージは喰らわせられましたかね。」と言い、わたしを笑わせた。
「じゃあ、午後も頑張ってくださいね。」
「うん、ありがとう。糸師くんもね。」
そう言って、わたしたちはお互いの事務所に入り、午後の業務へと戻った。