First Light.
「こういう時車の方がいいんだろうけど、」
生憎持ってないんだよね、と言いながらヘルメットを投げ渡された。
私は未だ状況を理解していない。
「それ被ってさっさと乗れよ」
「いやあの、学生証を…」
「早く」
「えっと…、送っていただかなくても私は電車で帰れるので大丈夫です」
「乗らねぇと学校にチクるけど?」
…そう言われれば黙るしかない。
当たり前というか、私が考えていた事を見透かされている。
私ら一体この人に何をされるんだろうか。
本当に無事に帰してくれるんだろうか。
「早くしろって、宇佐美翠」
「……フルネームで呼ぶのやめてもらってもいいですか、」
私は大人しく渡されたヘルメットを被った。