First Light.
「…美味しいですか?」
「あー、やっぱり夏はアイスだよなぁ」
彼が選んだのはおにぎりやサンドイッチでもなく、誰もが見た事のあるソーダ味のアイスだった。
コンビニの外に出て、腰辺りの高さがあるブロック塀に座ってシャリシャリと食べている。
「暑いならそのカーディガン脱げばいいのでは?」
「無理」
シャリシャリと食べ続けるのを横目に、帰りたいなと思っているとフンっと鼻で笑う声が聞こえた。
「あんた、良い所に住んでんじゃん」
「え?」
「やっぱりお嬢様じゃねぇの?」
「違いますよ」
「つかもうお嬢様でよくね?めんどくせぇし」
改めて見ると確かに立派な家が建ち並んでいる。
道路も綺麗に整備されているし、等間隔に植えられた木や煉瓦で作られた花壇がどこか洋風な雰囲気を漂わせていた。
「もっと酷いのかと思った」
「何がですか?」
「クラブに来るくらいだから、何かあんのかと」
「何もないですよ、別に」
閑静な住宅街に刺激なんて何一つない。
ユズのせいにしたけれど、私もその非日常的な空間に興味がなかったわけではない。