First Light.


「…そういえば、理人さんって彼女いるんですかね」

「え?いないと思うけど…。なぁ?」

「俺も聞いたことない」

「そうなんですね、」


沈黙が気まずくてつい余計なことを聞いてしまった。

…理人さん彼女いないんだ。
じゃあ毎回電話をかけてくる人は誰なんだろう。


「なぁに?翠ちゃんもしかして、理人の事好きになっちゃった?」


テーブルに頬杖を着いてニヤニヤとこちらを見ている松尾さんにムッとした。


「違います!…ただ、理人さんと居る時大体決まった時間に誰かからの電話がかかってくるからそれが気になっただけで、」


嫌そうな顔して出ないし。
なんだかんだすぐに帰ってっちゃうからと言うと小さく松尾さんが「あぁ、」と声を漏らした。


「だから、彼女かもしかしたら親御さんからなのかなって」

「ふふ、まぁ親ではないことは確か」

「どうしてそう言えるんですか?」


…確か、理人さんもはっきりとそう言っていた。





─────『親じゃないよ』





スっと耳に入ってくるような、凛とした優しい声で。



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